建替え体験談

建替え体験談

Rebuilding experience story

浜町ダイヤマンション

隣地敷地と一体となった建替え事業(東京都中央区案件)について、コンサルティングの株式会社UG都市建築・金子光良常務取締役にお話を伺いました。

part 1建替えに至るまでの経緯。

part 1

建替えに至るまでの経緯。

共同化により敷地条件を改善し、建替えを計画

浜町ダイヤマンションの敷地だけでは十分な規模の建替えが計画できませんでした。そこで周辺権利者と話し合い共同化により一定の敷地面積を確保することで、地区計画による容積率の緩和を受けることができ建替えを決議しました。

今回の建替えは東京都のマンション共同化建替えモデル事業(単独での建替えが難しく、隣地との共同化建替えを行おうとするマンションの初期検討費用について、東京都がモデル的に支援をするというもの)という制度を活用した事例です。既に本モデル事業は終了していますが、当時3カ所で採択をされた中で唯一、この共同化事業で建替えが成功した例となっています。

株式会社UG都市建築 金子さん

浜町ダイヤマンションの状況

浜町ダイヤマンションは、都営新宿線の浜町駅と半蔵門線の水天宮前駅から歩いて行けるところ。そばには隅田川が流れ、明治座、東京シティエアターミナルがあり、まさに日本橋の下町にあります。
昭和45年に建てられた旧耐震基準で設計されたマンションです。敷地面積は約270㎡、その上に鉄骨鉄筋造10階建て、住戸は44戸があります。専有面積は平均して約34㎡、中には約16.86㎡という小さな住戸が複数ありました。1階に飲食店と遊技場があり、区分所有となっている車庫があります。

建替え検討のきっかけ

当然老朽化が進んでいること。また、旧耐震マンションのため耐震上に問題があり、耐震補強計画も考えました。しかし現在の建物は敷地いっぱいに建っているので現実問題、耐震補強でフレームを組むことも難しく、費用の問題も含め耐震補強を行うのは難しいだろうと考えたのです。
また、今回の建替え検討の前には大規模修繕を行っていて外壁等の塗り直しをしており、そのため次の大規模修繕や耐震補強への費用の備えというものが基本的に少ないという問題もありました。

なぜ共同化を検討したのか

中央区は商業地域が多くなっていますが、商業地域での容積率は700%、残念ながら浜町ダイヤマンションのみで計画すると容積率は630%くらいとなります。
一方中央区は人口減少の回復を狙うことを政策の一つとしており、地区計画の範囲内で住宅を含む建物を建てた場合、一定の条件で容積率を指定値の1.2倍まで緩和するという形で住宅設置を奨励していました。そうなると浜町ダイヤマンションにおける容積率は700%のところが840%になるので、もう少し大きな建物を立てることが可能ということになります。
ただそのためには敷地面積300㎡以上であることが条件となり、浜町ダイヤマンションにおいては30㎡不足しており条件を満たすことができません。また、建替え後のマンションの専有面積は40㎡以上の住戸にしなければならないという条件もあり、比較的小さな住戸が多い浜町ダイヤマンションにとっては専有面積が増えることにより、負担金が増えてしまうということが大きな課題となります。
しかし、容積率が1.2倍になることは非常に大きな効果なので、共同化の検討になっていきました。

part 2隣地共有・共同化に向けて。

part 2

隣地共有・共同化に向けて。

隣地との交渉について

浜町ダイヤマンションは、元地主さんが分譲マンションを建てて売ったという経緯があり、その時の近隣関係がまだ残っていました。その元地主さんの近隣関係をてこにしながら隣地の4区画の方と接触することができました。いろいろな経緯で折衝しましたが、最終的には条件次第ではあるが協力しないわけではないよ、とその4区画の方には言っていただけました。

共同化のメリット・デメリット

共同化の主なメリットは、容積率の有効利用・緩和、土地の価値向上、規模の効果です。敷地規模を拡大・整形化することで建築規制がクリアできることがあります。広い道路に面している敷地と一体化することでの容積制限の緩和。さらに総合設計制度が活用できる場合にはより大きな建物をたてることが可能になります。これにも敷地面積や接道などの条件がいろいろとありますが、共同化によって大きな建物に建替えられるようになることが大きなメリットだと思います。また仮に容積率が増えなくても、価値の高い表地と相対的に低い裏地が一体化することで全体として土地の価値の向上となるメリットもあります。
それから規模の効果としては、基本的には小さい建物よりも大きい建物のほうが工事費は割安になります。共用部分においても大きい建物のほうが結果的に建物の効率があがるということがあります。
これに対してデメリットはというと、不確実性の高さだと思います。共同化というのは、隣地の同意が絶対条件となりますが、隣地の方への強制力はありません。隣地の方にもメリットがあるのでいずれ了解してくれるのではないかという見込みはありますが、実際にどの時点で隣地の方が同意してくれるかというのは相手次第のことなので、見通しが立たない状況がずっと続きます。もう一つは増分価値の配分です。共同化によって土地の価値が向上した部分をどのように配分するかというのが共同化の権利調整の課題もあります。マンション側と隣地の方と双方が納得のいく線を話し合い、どうやって合意形成をしていくかが大きな焦点であり、難しいところになります。

最後に

共同化に限らず建替えをするときには、やはりご近隣の方々のご了解をいただけないと建替えも隣地共有化もなかなかできません。
日頃からご近所の方々とコミュニケーションを取り、仲良くしていだたくことを心掛けていただきたいと思います。