建替え体験談

建替え体験談

Rebuilding experience story

マンション建替えセミナーより(開催日:2017年2月25日)

「藤沢住宅」「エアヒルズ藤沢」として生まれ変わる建替え事業の経緯を建替組合の高野理事長と佐々木理事からお伺いしました。

part 1建替えに至るまでの経緯。

part 1

建替えに至るまでの経緯。

周辺環境の変化が、意思決定に影響

佐々木 理事>
この「藤沢住宅」は1965年に公団の分譲として世に出た7棟、総戸数170戸の団地でした。JR線と小田急線の「藤沢」駅から徒歩11分、海抜30mくらいの高台というロケーションにあります。
建設当時は、公団の賃貸部門として38棟・1,100戸が同時にできていました。大部分は2000年頃解体して、2003年頃に逐次、URの賃貸住宅として完成していきました。その他の空いた敷地につきましては、民間に払い下げ、分譲マンションになっていきました。そして、最近ではエレベーターのない5階建てはこの藤沢住宅だけで、周りはすべてエレベーター付きの高層マンションに変わっていったという状況でした。そのような環境の変化が、建替えへの意思決定にも影響したと言えるかと思います。
藤沢住宅は、コンクリート5階建ての7棟。住居面積としては、約43㎡、と約58㎡の2タイプがおよそ半々にあり、延床面積約1万㎡、住戸数170戸でした。
2018年の8月には15階建ての南西、南、東向きに分かれた21タイプ、延床面積は約3倍、住戸数360戸に変わります。建替え後に戻ってくるのが120戸。50戸は建替えをきっかけに転出されました。

解体前の藤沢住宅

中長期計画策定委員会の発意

佐々木 理事>
1995年5月に管理組合の組織として、マンション再生を目的とした中長期計画策定委員会が設立されました。
修繕などの専門の委員会でしたが、建替えについての検討も行われ、2011年6月、管理組合の総会で建替え推進決議は可決されました。
2011年の10月、コンサルタントとして都市設計連合を、2012年5月には事業協力者として、日鉄興和不動産他をそれぞれ選定しました。
2014年12月14日、区分所有法第70条に基づく決議で、建替え決議が成立。2016年1月から解体に着手し、現在は4階あたりまで建物ができています。

再生検討待ったなし

高野 理事長>
2010年、私が管理組合の理事長に就任した当時、藤沢住宅は老朽化が進み様々な問題が生じていました。繰り返されるガス漏れ、排水管からの水漏れや赤水。また窓枠の不具合や電気容量の不足などの問題もありました。住民の方も年をとり、高齢化のため、バリアフリー化の検討も大きな問題でした。藤沢住宅はエレベーターのない、公団の団地のよくある階段室型の5階建てだったので、エレベータを設置するかどうかの問題もありました。東日本大震災があり、旧耐震基準の建物でもあったので、なおのこと早く検討を進めないといけないという機運も高まってきました。理事や委員の中でも建替えに関するセミナー等への出席してくれる人などもいて、情報を集めてくれました。
その中で、建替え検討に大きく一歩踏み出したのは、アンケートを取ったことですね。その結果、建替え検討に対して約9割の賛同を得たこともあり、建替え推進決議を一年以内にやろうと考えたわけです。

建替え決議に向けて

高野 理事長>
コンサルタント・事業協力者を迎えて、その上で建替え決議に向けて心がけたことは、情報共有のための活動です。理事会ニュースを配布して情報共有するだけにとどまらず、関心の薄い方や高齢者に対しては、グランドゴルフの会や緑と花の会などの趣味のサークル、餅つきや納涼などのお祭りを通じて建替え検討についての話題も交えるなどして、日常の話題としてコミュニケーションを図ってきました。
賃貸に出していて、藤沢住宅以外に住んでいる組合員も50戸ぐらいはあったので、理事会ニュースを郵送し、建替え検討状況を必ず記載、情報の格差がないよう心がけました。
コンサルタント・事業協力者が藤沢住宅内に現地事務所を開設してくれたことも効果が大きかったと思います。電話や文書での相談は敷居が高いという人も意外と多いし、理事・委員を経由して相談することを好まない人もいる。そういう点で身近に気軽に相談などができることは、不安解消や建替えの合意形成には役立ったと思います。

建替え決議不成立を乗り越えて

高野 理事長>
区分所有法70条の団地の一括建替え決議では、団地全体4/5、各棟で2/3以上の賛成が必要となります。
2014年の7月の建替え決議では、全体としての賛同率は9割を超えたのですが、各棟要件で1棟で1票足りず、不成立となってしまいました。
ここで意気消沈となりそうですが、そうではなく、9割を超える方が賛成をしているという事実を重視して、総会当日に臨時理事会を開催。再度、建替え決議に向けて活動しようと確認。理事・委員以外の一般の組合員の協力者も含めて決起集会を開いて決意を固めました。

高野 理事長

佐々木 理事

part 2建替え決定、それからの活動。

part 2

建替え決定、それからの活動。

女性居住者の活躍。

佐々木 理事>
女性居住者の方が、自発的に申し入れて協力してくれたことが、嬉しかったですね。一人で住んでいる高齢者の方などには、建替えの話だけではなく、世間話など幅広く話をしていったことで距離が縮まったことが大きかったですね。そうした活動が実って2014年12月に建替え決議までたどり着くことができました。

建替えに話を進めるにあたり考えたこと。

佐々木 理事>
大規模修繕と違って、マンション建替えの経験はないですし、近所で実例があるわけでもなく、難しいことなので、住民だけで進めることは限度があり、専門家なしではとても進められないと思いました。
そこで、マンションの有名企業というより、実際にマンション建替えの経験が豊富なところにコンサルタントや事業協力者になってもらおうと考えました。 でも専門家に任せっきりでもダメ。住民とパートナーが車の両輪となって動くことが大切ですね。

解体前の藤沢住宅

引っ越し、仮住まいを事業協力者がサポート。

佐々木 理事>
決議された翌年(2015年)、藤沢住宅マンション建替組合の設立申請を藤沢市に提出し、2ヶ月後、認可が下りました。これに合わせて、マンションの建物計画、仕様が決まったり、次にどの住戸にするか、皆様に選んでいただきました。それを受けて藤沢市に権利変換計画を申請して、12月に認可を受けました。
藤沢住宅の解体に向け、明け渡しをするということで、建替え後のマンションに戻る方は仮住まいに引っ越し、転出された方は転居ということで、12月末に全員退去。仮住まいなどについては、事業協力者の力が非常に大きかったと思います。私たちだけではできなかったと思います。やはり現地に事務所があるということで、身近なところに相談する場所があり、委員の方、コンサル、事業協力者がいることで、気軽になんでも相談でき、とても安心感があり、良かったです。

合意形成に「ウルトラC」はない。

高野 理事長>
合意形成に関しては、ウルトラCはない、粘り強くお話しをするしか無いと思います。
賛成してくれても、その内容や本心をちゃんとつかむようにする。
なにしろ建物は50年以上たっている。大規模修繕をするにしてもお金がかかる。設備関連のガス、電気、水道などの配管などは30~40年で交換を考えないといけない。大規模修繕と建替えの比較をしっかりして、修繕のデメリットもしっかり把握してもらうことで、納得してもらった。後付けでエレベーターをつけた場合の費用負担を伝え、建替えに多くの賛成を得られました。他の大規模修繕の団地を見ても、見栄えが良くないし、躯体の改善はできないですし、うまくいくことなどないということを理解してもらえました。

透明性のある進め方

高野 理事長>
そして、組合や委員会の進め方として透明性を持って進めなければいけないということで、隠し事はしませんでした。すべて情報は、理事会ニュースなどで配布、公開しています。それでわからないことは管理組合に直接聞きに来ていただけるようにしました。広報活動は非常に重要ですね。

建替え事業を進める皆様へのメッセージ。

佐々木 理事>
これから建替えを進めるにあたって重要なことは、それは情報共有ですね。そして価値観、危機感の共有が大切だと思います。この三つを早急に検討する土台づくりが、大切ですね。 藤沢住宅ではそれを整えるのに時間を要しました。建替えというのは、誰かが頑張れば良いということではなく、地元の人々みんながコミュケーションを活発に、理事会、事業協力者も含めた人が汗を流して、まとめる作業をした事がよかったと思っております。

建替え後の藤沢住宅(エアヒルズ藤沢)完成予想図